ラボのデスクにプライバシーはあるか

新年度となり、居室の平均年齢がガクっと下がる季節である。
1人、平均年齢を上げるだけの存在になってしまったわが身を省みつつ過ごす今日この頃。

先日、早速新しい院生が「デスクに私物を置いてもいいか」と尋ねて来た。
今日び、わざわざそんなことを尋ねてくるなんて珍しく礼儀正しい子である。

そこでふと思い出した昔話。

以前在籍したラボでは、「デスクはラボ/大学の備品であるから、私物を置くのは構わないがプライバシーはないものと思って欲しい」と明言されていた。
僕がそのラボに移動するはるか以前に、PIが無断で院生の机の上や引き出しの中を調べてトラブルになったことがあるらしい。PIはその院生に貸した本を探していたとのことだが、院生はプライバシーの侵害にもほどがあると烈火のごとくPIに食って掛かり、危うくハラスメントとして学内委員会に訴える事態に発展するところだったそうだ。幸い、PIが謝罪し、院生側にも落ち度がないわけでもなかったのでなんとか丸く収まったそうだが。
以降、PIも無断で個人のデスクに触る事は控えるようになったとは言え、万一に備えて上記のようなルールを作ったという事情のようだ。

よくよく調べてみると、やはりラボのデスクはPIの管理下にあるという考えが一般的なようで、無断で引き出しを開けるような行為も「管理上必要であれば」法律上は問題にならないケースが多いそうだ。
とはいえ、やはり他人の引き出しを無断で開けるなんて行為は信頼関係を損ねる危険もあるだろう。現にその院生はその後PIとの関係をこじらせ修了を待たずして民間就職へ舵を切ったそうだ。PIと院生間で最も重要なのは信頼関係。それを危うくするようなマネは控えよう。