2013-01-01から1年間の記事一覧

共著論文放置は罪

前にも言ったが、共著者から回ってきた論文原稿を放置することは誰の益にもならない。 むしろそれによって投稿までの時間がいたずらに長くなることを考えると罪、そう、罪でしかない。数週間レベルならともかく数ヶ月レベルで原稿を返さない共著者なんていう…

バッタ博士 前野ウルド浩太郎

帰って来たバッタ博士 前編 後編過去にもたびたび言及している前野氏だが、なんとプレジデント誌のオンラインサイトに特集記事が出ていた。無給PDとしてアフリカで研究する彼が、日本で最も競争的・理想的ポストの1つである京大・白眉プロジェクトに採用さ…

学部の間は友達作れ 

先日、ラボに学部生の訪問があった。 配属は2年も先のことなのに熱心だなぁと思った程度だったのだが、なんやかやで対応係を命じられてしまった。 訪問してきた彼に聞くところによると、彼はかなり強く研究者を志望しているそうだ。しかし、特に特定の分野…

こうはなりたくない PI チェックリスト

□ 院生・PDに物事を頼むときは命令口調だ□ 自分の行いは頻繁に棚にあげる□ ラボのOB/OG が遊びに来ることなんてない□ 面と向かって院生やPDが自分に意見することはない□ 自分の経験談はみんな聞きたがるだろう□ 自分が一次会で帰ると、二次会は盛り上がるよ…

権威主義的研究室

今年の分子生物学会では「偉い先生の顔に落書きをする」という企画が行われるようだ。一見、安っぽいバラエティ番組かのような企画だが、上記リンクにも書いてある通り、日本の多くの研究室は封建的で研究室内のヒエラルキーがはっきりしている。 PIが白とい…

ランナーを出してもホームに還さないと意味がない

基本的に実験生物学の世界では、データがなければ論文は書けない。 いや、生命科学に限らず、実験ベースの分野ならどこでもだいたい一緒だろう。総説やプロポーザル論文以外の原著論文は、普通何らかの実験データを含んでいるものである。だからこそPDは朝か…

正しくやっている人は、正しく評価される。

先日、京都大学白眉センターの公募結果発表があった。以前このブログでも言及したバッタ博士こと前野博士が採用されている。 オンリーワンPDである彼が、こうして評価され、収入も地位もある職につくのを見ると、まだまだこの国のアカデミアは「正しくやって…

ダメな同僚

学会シーズンということもあり3ヶ月も空いてしまった。先日学会で久しぶりにかつての同僚だったPDを見かけた。 少しばかり思い出すところがあったので、その話をしようかと思う。 - - - - - - 彼と同じラボで仕事をしたのは数年前の1年間ほど。 ラボから…

ブラック研究室の条件とは?

ブラック企業大賞とやらに東北大学がエントリーされたと話題になっているようだ。 http://blackcorpaward.blogspot.com/ウェブ上に実際のOBの方の文章も見つけた。是非一読していただきたい。 http://anond.hatelabo.jp/20130705220752"しかし、そのブラック…

オンリーワンPD

ネット上でいくつか贔屓にさせていただいているブログがある。 その中のひとつ、「砂漠のリアルムシキング」について書いてみたい。 Web上では有名な方のようだが、このブログの筆者もまたPD(ポスドク)である。僕と分野は違えど、置かれている社会的地位は…

学振の添削に関する所感

学振申請のこの季節。 今でこそしがないPDをやっている僕も、かつては各種学振の恩恵に預かっていたこともある。申請書作成にはそこそこのノウハウを持っている。 (逆に今こうやってパッとしないPDをやっているという事は、僕にあったのはノウハウだけで実…

ラボのデスクにプライバシーはあるか

新年度となり、居室の平均年齢がガクっと下がる季節である。 1人、平均年齢を上げるだけの存在になってしまったわが身を省みつつ過ごす今日この頃。先日、早速新しい院生が「デスクに私物を置いてもいいか」と尋ねて来た。 今日び、わざわざそんなことを尋ね…

自慢話のリスク

PD生活も長くなれば、同僚に「自慢屋」がいた経験も豊富になるし、学会での知り合いが増えれば否が応でも「自慢屋」に出くわす。僕は性格が原因か、立場が原因かわからないが(両方なのではないかと予想している)、自慢話を聞く機会がとても多い。自慢話を…

精神衛生管理に関連した昔話(後編)

精神衛生管理に関連した昔話(前編) こうして、精神を病んでしまった僕であったが、幸いにも「まだ動けるうちに」メンタルクリニックに行く事が出来た。そのためこの人生で最も辛い2日間を乗り切ることが出来た。また、その後も定期的に心療を行うことで(…

精神衛生管理に関連した昔話(前編)

心のうちを吐露するだけのこのブログなのだが、突然急激にアクセス数が増えた。何かと思えばTwitterで言及されたらしい。この異常な増え方から察するに、大勢の方の目に触れる場所に上がったのだろう。こんな駄文を読んでも糧にはなるまいが、一握の共感でも…

ポスドクの妻

職業柄、当然多くのポスドクを知っているのだが、その副産物として多くの「ポスドクの妻」の方々にもお会いしている。(「ポスドクの夫」も多く知ってはいるが、大体彼らもまたはポスドクである。またの機会に言及しよう) ご存知の通り、多くのポスドクは、…

原稿を返すまで

「当論文について、ご意見・修正・コメントなどをよろしくお願いいたします」というお願いは研究業界ではありふれた依頼である。現在の科学界において、単独で書かれる論文は稀であり、多くの場合論文には「共著者」が存在する。そのため、ある程度論文原稿…

「意見をされる」、という幸せ

院生・PDの頃は、研究室に「上司」が存在する。 この頃、上司に叱られたり諌められた経験のある研究者は多いはずだ。 良識的な上司の下に付いたならば、こういった諫言・叱責の類はそのときこそ苦けれど、後にそれを良薬として噛み締めるときが来るものであ…

素直に謝る、という能力

意外とこれが出来ない人間がいる。研究能力は凡庸でもいいから、相手が学生だろうと、自分の落ち度はきちんと認められるPIになりたい。 自分の非を認めず、相手の立場が弱いことをいいことに、語調を荒立て恫喝して黙らせるような形で解決を図るようなPIを、…

アカデミックハラスメントに関する一考

ときたま、「●●大教授、アカハラで停職●ヶ月」などというニュースを目にする。研究業界の生活が長くなると(いや、たとえ短くとも)、アカデミックハラスメント(アカハラ)に関する噂はよく耳にする。多くのアカハラは PI→博士課程の学生 で行われているの…

動物愛護に関する考え

生命科学系の研究業界にいると、しばしば聞くのが動物愛護団体とのトラブル話である。僕は、端的に言うと動物愛護団体が好きではない、しばしば嫌悪感を覚える。 いや、正確に言うと、好感が持てる動物愛護団体に出会ったことがない。僕は「動物を慈しむ」と…

「そんなことも知らないのか」 に関する矜持

理不尽な叱責についての話をしようと思う。研究室における良くある叱責セリフの1つに「お前、そんなことも知らないのか?」というものがある。 「そんなこと」というのは発言主にとっては常識的とも言えることで、当然同じ研究室に所属するものなら知ってい…

精神衛生の管理こそ院生とPDが気をつけるべきこと

「研究者としてやっていくために最も必要なことはなんですか?」研究業界に入り、早○○年になるが、この問いに対しては幾多の答えを聞いてきた。 「無限の探究心」「ビジョン&ハードワーク」「ユニークな発想」「Stay hungry」多くの”格好いい”答えの中、最…

学振を申請しない合理的な理由など存在しない

年が明けると瞬く間に時間は過ぎ去っていく。この季節、「学振申請まであと○○ヶ月か」と考える方も多いのではないだろうか。「学振、どこに出すの?」と言うのは年度末に行われる学会にて、それぞれの年齢層で決まって切り出される質問の1つである。 新M2…