先の政権交代のとき

お久しぶりです。

Acadexit して、一年ほどが経ちましたが私は元気です。

アカデミアにいたころは、アカデミア外で働く自分を想像するのは難しかったのですが、意外とやればなんとかなるものですね。

アカデミア生活で身についた有形無形のスキルは意外と民間でも応用できるものが多くて助かりました。未練がゼロというはわけではありませんが、未練が徐々に減衰しているのも感じている今日この頃です。

 

さて、参院選ですね。

現政権与党にはいろいろと不満もあるし、このままではいけないという思いは、無党派層であっても多くの方が有している感情ではないでしょうか。

ただ、僕は一方でほかの党が政権を取った時のことが正直言って怖いです。

 

というのも、先の政権交代の時の経験があるからですね。

先の政権交代を実現した衆院選、僕も期待を込めて民主党への投票を行った有権者の一人でした。

しかし、僕はやがて自分の行動を後悔しました。

 

かの有名な「事業仕分け」。

その中で仕分け対象になった予算の一つに若手科学者の支援事業がありました。

「学振特別研究員」制度が「博士の生活保護」と批判され、削減対象になったのです。

いうまでもなく、科学技術分野の政策において若手への支援が重要なことに異論はないでしょう(個人的には最重要だと考えています)。

特に学振特別研究員制度は、若い研究者を経済的にも身分的にもサポートし、自由な発想のもとに研究を行える環境を整える制度です。当時の僕はすでにこの制度の恩恵にあずかった後だったので、僕個人としては無くなっても問題ないものではありました。しかし、後に控える後輩たちのことを考えると、仕分けされてしまうことにとても賛成などできませんでした。

この制度が存在しないアカデミアを考えるだけで寒気がしませんか?少なくとも当時の僕は、そこを削減対象に選んだ政権に心底絶望しました。結局、「無駄を省く」といいながら、取捨選択が適切にできない人間がそれをやると、酷いことが起こるという(当たり前のことを)学びました。

他の分野や政策については門外漢でしかありませんが、(自分がある程度内情を知っている)科学技術分野でこれならば、恐らくほかの分野でもそのようなことが起こっているだろう、と想像するのは仕方がないのではないでしょうか。

 

現在の日本の様々なシステムは(数々の問題をはらみつつも)度重なる改善を繰り返して基本的にはそう悪くないものになっていると僕は思います。

現政権ではないけれど、基本的な政策は現政権寄りで、局所的に利害調整が可能…そういった勢力に投票したいという、僕みたいな有権者は少数派なのでしょうか?